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2008年07月24日

インプラント治療の際に、抗血小板薬、抗凝固薬は中止する必要性があるのか?:最終回4

7/24(木曜日)です。


今日も前回の続きで、『インプラント治療の際に、抗血小板薬、抗凝固薬は中止する必要性があるのか?:最終回』になります。


『抗血小板薬、抗凝固薬』服用患者様の抜歯時の注意事項

それでは、『抗血小板薬、抗凝固薬』を服用している患者様(PT-INR 3以下の場合)の抜歯時の注意事項は、どのようなことなのでしょうか?

抜歯後、止血を抑えるコラーゲンスポンジ等の材料を抜歯した穴に入れ、緊密に縫合を行い、完全に止血してから治療を終了することです。

PT-INRが3以下であれば、ワーファリンを服用したままでも抜歯後の出血の発現率は2.5%〜7.5%であり、十分止血可能な範囲とのことです。



万が一、『抗血小板薬、抗凝固薬』を中止する場合には、いつから中断すれば良いか?

先程書きましたように基本的に、歯科医院にて抜歯やインプラント 等の出血を伴う治療の際には、『抗血小板薬、抗凝固薬』の中断は、必要ありませんが(PT-INR 3以下の場合)、
出血量が多くなる等の可能性がある場合で、どうしても『抗血小板薬、抗凝固薬』の中断が必要と判断された場合には、使用している薬の種類により、中断時期が違います。

参考例)
・ ワルファリン:処置3〜5日前から中断
・ アスピリン(バイアスピリン):処置7日前から中断
・ 塩酸チクロピジン(パナルジン):処置10〜14日前から中断
  *アスピリンやバイアスピリンの作用時間は、血小板の寿命(10日前後) 
   に等しい。
・ シロスタゾール(プレタール):処置3日前から中断
  *通常、48時間以内には体外に排出されるため
・ 塩酸サルポグレラート(アンプラーグ):処置1日前から中断
  *半減期が短いため

*上記は、一般的な日数であり、具体的な中断日数等は、担当医の判断により
 ます。


次回のブログは7/28(月曜日)になります。
次回から新しいテーマになります。
『治療費を抑える方法』です。

8/10(日)〜8/14(木)は、夏期休暇になります。


今週(7/22〜23)のインプラント手術報告

今週(昨日)のインプラント手術の中から、
難しいケース であったり、
特殊なケース 等を抜粋して、紹介するコーナーです。
日々の臨床で、どのようなことを行っているか 知っていただきたいと思い 今年から始めました。
それでは、今週のインプラント手術の中から上顎にインプラント埋入を行った1症例について解説します。

昨日行ったインプラント手術は、非常に簡単でした。

なぜかと言いますと、骨の幅や高さに大きな問題がなかったためです。

埋入部位は、上顎の奥歯です。

通常、上顎の奥歯にインプラントを行う場合、骨が吸収しており、
骨の高さが少ない場合が多いのです。


手術時間は、約15分程度でした。

今後の治療スケジュール
今後の予定としては、
1. 約7〜10日後に“抜糸”、
2. その後、 約2〜3ヶ月後に型を取り、
3. 型取りの後、 約10日で完成した被せ物を装着し、完了です。
意外に治療回数はかからないものなのです。

治療費
今回の手術を含め、5歯欠損の治療費の合計は、
インプラントが1本21万円(税込)×3本、
最終的な被せ物は、
手前がハイブリッドセラミックで1歯105.000円(税込)×2歯分、
奥が金属製で73.500円(税込)×2歯分
ですので、合計1.060.500円(税込)になります。
この中には、治療中のレントゲン撮影や薬代、型を取る費用、被せ物の費用も全て含まれています。

医療情報コーナー
共同通信社に以下のような記事がありましたので掲載します。

HIV陽性、上半期で58人 献血抗体検査で

今年の1-6月の間に献血した人のうち、エイズウイルス(HIV)抗体検査で陽性となった人は58人だったことが15日、日赤の集計(速報値)で分かった。
 10万人当たりの陽性者は過去最多だった昨年平均の2.065人を上回る2.316人。
都道府県別では大阪が最も多い16人で、東京9人、千葉が5人と続いた。

エイズは、日本でも急激に増えています。



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sugiyama_dental at 08:20|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!インプラント 

2008年07月21日

インプラント治療の際に、抗血小板薬、抗凝固薬は中止する必要性があるのか?:その35

7/21(月曜日)です。

今日も前回の続きで、『インプラント治療の際に、抗血小板薬、抗凝固薬は中止する必要性があるのか?:その3』になります。


現時点(2007)でのガイドライン と まとめ

今日も前回の続きで、少し難しい話になります。

欧米において、『抗血小板薬、抗凝固薬』を服用しながらの抜歯が可能かどうかについて、論文が発表されました。

PerryらがBr Dent Jに発表したもので、
INR(PT-INR):2〜4 の治療域にあれば、重篤な出血のリスクは非常に小さく、逆に休薬により血栓症リスクが増大することを踏まえ、
「外来の歯科外科処置を行う大多数の患者では抗凝固薬を中止してはならない」ことが、推奨されている。

* INRとは、血液凝固系検査の国際標準化比値のことであり、International Normalized Ratioの略である。

日本人の場合は、PT-INR値を2.0以上3.0未満 に設定することが、出血と梗塞のリスクが低いことが分かっています。
*2008年現在

しかし、逆に以下のような報告もあります。
医師116人を対象に行ったアンケート結果(2006)によると、
抜歯時にワルファリンを中止・減量する医師が約70%
抗血小板薬を中止する医師は約86%
であった。

つまり、『抗血小板薬、抗凝固薬』を服用している患者様の場合、
医療サイドでも中断(一時停止)してから抜歯等の処置を行うという意識がまだ高いことが伺えます。

ちなみに抜歯時にワルファリンを中断すると答えた医師は、約17%しかいませんでした。

まとめ として、『抗血小板薬、抗凝固薬』PT-INR 3以下の場合)を服用していても、歯周病外科、インプラント治療、抜歯 等の 出血を伴う治療の際に、薬を中断する確実な理由はありません。

特に、『人工弁置換術後』の患者様では、抜歯時に『ワルファリン』を中断してはいけません。

ただし、患者様個々の状況をふまえ、医師、歯科医師との連携により検討することも大切です。


次回のブログは7/24(木曜日)になります。
次回は、今日の続きで、『インプラント治療の際に、抗血小板薬、抗凝固薬は中止する必要性があるのか?:最終回』です。


今週(7/18〜20)のインプラント手術報告

今週(昨日)のインプラント手術の中から、
難しいケース であったり、
特殊なケース 等を抜粋して、紹介するコーナーです。
日々の臨床で、どのようなことを行っているか 知っていただきたいと思い 今年から始めました。
それでは、今週のインプラント手術の中から上顎にインプラント埋入を行った1症例について解説します。

上顎に歯が1本もない患者様です。
いわゆる総義歯の方です。
総義歯(総入れ歯)の方の場合、インプラントによる治療法には、2つの方法があります。

一つは、6〜8本程度のインプラントを埋入し、ブリッジとして完全固定式にする方法です。
固定式のため、義歯のようにご自身で取り外すことがないため、もともと歯があった状態のように食事ができます。

ずーっと総義歯(総入れ歯)のだった場合、このようにインプラントによるブリッジになると非常に喜ばれます。
義歯ではなくなるのですから…

しかし、この治療の最大の欠点は、治療費です。
インプラント自体を6本程度埋入しますので、費用がかかります。
インプラント1本の埋入費用は、21万円(税込)です。
それ以外に、被せ物の費用もかかります。
材質の種類によりますが、1歯73.500円(税込)〜157.500円(税込)かかります。

次に治療費を抑える方法として、
義歯にはなりますが、インプラントを応用することにより安定の良い義歯を作製することができます。
まず、2〜4本のインプラントを埋込みます。
そしてインプラントと義歯をつなぐアタッチメントという金具を装着します。
この金具(アタッチメント)により義歯とインプラントは強固に固定されますので、義歯が動いたり、落ちてくるということはありません。
また、顎の形の状態や噛み合わせにもよりますが、固定力が強いため、
義歯を非常に小さくできるという利点があります。
  *顎の形態や噛み合わせによります
状況によっては、義歯の口蓋の部分を取除くことができ、通常の義歯とははるかに小さくできますので、違和感はかなりなくなるかと思います。
  *顎の形態や噛み合わせによります
この場合の費用ですが、インプラント以外に金具(アタッチメント)の費用(1個:52.500円(税込)がかかります。


さて、話は戻りますが、今回の患者様は、完全固定式を希望されたため、
上顎の6本のインプラントを埋入する計画になりました。

今回は、2回目のインプラント埋入でした。

しかし、骨の幅が非常に狭く、部分的には、2ミリ程度しかありませんでした。
インプラントの直径は、約4ミリですので、骨幅が全く足らないことになります。
実際に必要な骨幅は、6ミリはないといけません。

そのため、インプラントを埋入すると同時に、骨の幅を広げる治療 『スプリッティング法』および、骨の幅を増大させる治療法 『GBR法』を併用しました。

また、奥歯においては、骨の高さも非常に少なかったため、長いインプラントを埋入するための、 ソケットリフト法も行いました。

使用したインプラントは、 ストローマン・インプラント  ( I.T.Iインプラント)  SLAタイプ 直径4.1ミリ、長さ10ミリ が5本でした。

麻酔方法は、 『静脈内鎮静法』 です。
今回の手術は、非常に難易度が高いため、このような麻酔方法が効果的です。

手術時間は、静脈内鎮静法であたため、約60分程度でした。

今後の治療スケジュール
今後の予定としては、
1. 約7〜10日後に“抜糸”、
2. その後、 約3〜4ヶ月後に型を取りを行います。



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2008年07月17日

インプラント治療の際に、抗血小板薬、抗凝固薬は中止する必要性があるのか?:その25

7/17(木曜日)です。


今日も前回の続きで、『インプラント治療の際に、抗血小板薬、抗凝固薬は中止する必要性があるのか?:その2』になります。

『抗血小板薬、抗凝固薬』使用時の歯科治療における注意事項

前回に続き、難しい話ですが…

患者様が、『抗血小板薬、抗凝固薬』を服用されている場合、
歯周病の手術 や インプラント治療、抜歯 等を行う際、
歯科医師、そして患者様も治療後の出血や 出血性合併症を心配し、『抗血小板薬、抗凝固薬』中止(一時停止)する例があります。

ところが現在、薬の中止(一時停止)が本当に必要なのかどうか、疑問が持たれています。

『抗血小板薬、抗凝固薬』中止(一時停止)することが逆に問題を生じるのではないか?
ということです。

このことを裏付ける多くの報告があります。

報告1)
『米国のWahlの報告(Arch Intern Med., 158: 1610-16, 1998)によると、
ワルファリン中止し、抜歯した患者様(493例 542回)において、
5例(約1%)で血栓塞栓症が起こり、うち4例が死亡した』
つまり、ワルファリンを中止して抜歯した場合、100人中、1人は、脳梗塞を起こし、場合により、死の危険性もある ということです。

報告2)
Maulazら(Arch Neurol., 62: 1217-20, 2005)によると、
アスピリン療法中に 脳梗塞を発症した群 と 発症しなかった群 とを比較したところ、
薬を中止していた患者様の割合は、
発症群4.2%、非発症群1.3%で、
薬を中止していた患者様の脳梗塞の発症が高いことを報告しています。

報告3)
国立循環器病センターの報告(Thromb Res., 118: 290-93, 2006)では、
抗凝固療法例で脳梗塞を発症した23例中、抗凝固薬を意図的に中止していた例が8例(うち4例は抜歯による)あった。
中止例は退院時要介護が71%と、非中止例の21%に比べ予後が著明に悪くなっていたとしている。

報告4)
慶應病院では、
ワルファリン、抗血小板薬とも継続下で抜歯を行っている。
ワルファリン単独58例、抗血小板薬単独27例、両者併用23例で抜歯を行ったところ、後出血を見たのはワルファリン服用の2例のみであり、止血シーネで容易に止血できた。
ワルファリンの治療域は日本では1.6〜2.8に設定されており、この範囲で確実な止血処置を行えば抜歯時の止血にほぼ問題はない。
としている。

こうした多くの報告から
日本循環器学会の抗凝固・抗血小板療法ガイドラインでは、
「抜歯時には抗血栓薬の継続が望ましい」となっています。

ただし、患者様の状態により異なる場合もあるため、抜歯の際には、担当医師との事前相談が非常に大切になってきます。

*さらなる詳細は次項で解説

今回のテーマは、興味のない人には、難しい話です。
しかし、どんな治療もそうですが、医療には、必ず学術的な根拠があるのです。



次回のブログは7/21(月曜日)になります。
次回は、今日の続きで、『インプラント治療の際に、抗血小板薬、抗凝固薬は中止する必要性があるのか?:その3』です。


今週(7/15〜16)のインプラント手術報告

今週(昨日)のインプラント手術の中から、
難しいケース であったり、
特殊なケース 等を抜粋して、紹介するコーナーです。
日々の臨床で、どのようなことを行っているか 知っていただきたいと思い 今年から始めました。
それでは、今週のインプラント手術の中から下顎にインプラント埋入を行った1症例について解説します。

今回のケースは、初診時に骨の吸収が大きく、インプラントができない状態でした。

そこで、あらかじめ骨の増大治療GBR法を行いました。

骨の吸収が大きい場合には、このように骨を増大(増骨)する必要性があります。
骨が再生(増える)までには、約3ヶ月程度の期間が必要です。

今回は、GBR法後のインプラント治療です。

GBR法には、2種類の膜が使用されます。

まず、吸収性膜です。
骨吸収がさほど大きくない場合や、インプラントと同時にGBR法を行う場合には、高頻度で使用される膜です。
膜自体は、自然に吸収され、比較的使用方法が簡単な膜です。

次に、非吸収性膜です。
骨吸収が大きい場合や、GBR法単独で、使用される頻度が高い膜です。
骨の増大効果が高いものですが、膜は、自然には、吸収しないため、後で、取り出す必要性があります。
吸収性膜と比較して技術的には、難しい膜です。

今回は、骨吸収が非常に大きかったため、非吸収性膜を使用したGBR法を行いました。

そして、今回の手術では、非吸収性膜を撤去すると同時にインプラントの埋入を行いました。

非吸収性膜の撤去とインプラント埋入を同時に行うため、

結果的には、2回の最小限の手術回数で治療が行えます。

使用したインプラントは、 ストローマン・インプラント  ( I.T.Iインプラント)  SLAタイプ 直径4.8ミリ、長さ10ミリ が1本でした。

手術時間は、約15分程度でした。

今後の治療スケジュール
今後の予定としては、
1. 約7〜10日後に“抜糸”、
2. その後、 約2〜3ヶ月後に型を取り、
3. 型取りの後、 約10日で完成した被せ物を装着し、完了です。


治療費
最初に行ったGBR法の費用は、52.500円(税込)
インプラント埋入時には、21万円(税込)、
最終的な被せ物は、105.000円(税込)になります。


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