さて何回かに分けて行ってきましたは歯周病患者様におけるインプラント治療
『歯周病治療の新しい考え方:フルマウスSRP法』ですが、今日が最後です。

昨日まで『SRP:スケーリング・ルートプレーニング』をさらに効果的に行う方法として
1 『局所的薬物送達療法:LDDS(Local drug delivery system)』と
2 『抗菌性グルコン酸クロルヘキシジン含嗽剤の使用』
があることを説明しました。

今日は『経口的抗菌薬の投与』についてです。

簡単に言えば、歯周病細菌に効果がある『抗生剤』をある程度の期間(2〜4週間程度)服用していただきます。
全ての歯周病に行うのではなく、限られたケースにはなりますが、歯周病治療と並行して『抗生剤』を一定期間服用することは効果があります。

しかし、この方法は日本ではほとんど普及していません。
その理由としてまず保険が適応されないということがあります。
次に『抗生剤』を服用する期間が長いために
副作用や耐性菌(細菌が抗生剤に効かないようになる)の問題があります。
無理に『抗生剤』を服用しなくても他に治す方法があるため、
患者様にも理解を得にくい『経口的抗菌薬の投与』は普及していないのです。
ただし、ケースによっては非常に効果を発揮する場合もあり、私も行うことがたまにあります。

このシリーズのまとめとして
『局所的薬物送達療法:LDDS(Local drug delivery system)』と
『抗菌性グルコン酸クロルヘキシジン含嗽剤の使用』、
『経口的抗菌薬の投与』
を併用することにより『SRP:スケーリング・ルートプレーニング』の効果は高まるのです。
しかし、歯周病治療の基本であるブラッシングがきちんとできていなければ、こうしたことは意味がなくなってしまいます。
まず、ブラッシングがきちんとできていることが第一であり、
上記の3つはあくまでも補助的なことと思って下さい。

歯ブラシで汚れ(細菌)が取り除けない状態でいくら
『SRP:スケーリング・ルートプレーニング』、『局所的薬物送達療法:LDDS(Local drug delivery system)』、『抗菌性グルコン酸クロルヘキシジン含嗽剤の使用』、
『経口的抗菌薬の投与』を行っても効果はありません。
歯ブラシはきちんと行っているつもりでも100%行える方はいらっしゃいません。
もちろん100%ということは難しいことですが、一度歯周病になってしまったということは、歯ブラシの方法や時間等に問題があったということです。
同じような状態いれば、当然、歯周病は再発します。
歯周病でない方の『2倍の時間をかけ』丁寧に行うことが大切です。
毎食後のブラッシングが再発するかしないかの大きなポイントになります。

よく患者様に以下のような 例え話 をすることがあります。
糖尿病 や 高血圧 の患者様に対して、生活習慣の改善をせず、薬だけを処方しても治りません。
いくら薬を服用しても、食事も普通の人と変わらず、十分な運動もせず、ましてや 喫煙 されていれば治るはずもありません。
また 睡眠 やストレス もそうです。
これは歯周病にも言えることです。
特に喫煙されている方は歯周病は治らないと思って下さい。
またインプラントに対しても喫煙は大きな問題となります。
いくらブラッシングがきちんと行われていてもダメになる可能性があると思って下さい。
『SRP:スケーリング・ルートプレーニング』、『局所的薬物送達療法:LDDS(Local drug delivery system)』、『抗菌性グルコン酸クロルヘキシジン含嗽剤の使用』、
『経口的抗菌薬の投与』はあくまでもきちんとした生活スタイルが確立できてこそ効果のある治療となります。

明日からはこのところホームページで新しくアップした内容をさらに詳しく説明を加えて書きたいと思います。
『インプラントの即時負荷(荷重)』というタイトルになります。
お楽しみに!

大船駅北口歯科インプラントセンターインプラント 歯周病 専門医